| 塾全協アピール 学習塾の声を聞いて下さい。
'87年5月16日朝日新聞に掲載 学習塾全国連合協議会は、地域に根ざした中小規模の学習塾を主体とする全国最大の組織として結成以来十余年、健全な学習塾の教育理念の確立、経営環境の整備に向けて努力を重ねてきました。毎年開催される全国研修大会が会員相互の地道な研讃の場であることは、すでに心ある教育関係者の等しく認める事実であり、また、月例研修会、進学相談会、教材教具展等の活動を通して、塾教育者の質の向上と地域への貢献に微力ながら努めてきたことも周知のとおりです。今や、高度に発連した情報化の時代、価値観の著しい多様化の時代を迎え、学習塾というそれ自体多種多様で個性的な民間教育機関の存在を抜きにして、教育の活性化を語ることは出来ません。私共は営利のみを目的とする立場を離れ、教育機関としての学習塾の可能性と限界を真摯に追求することによって、新しい時代の教育 に相応の役割を果たすことを念願するものです。 学習塾は全く独自の創造的意義を有する教育機関であって、単なる学校教育の補完的機関に止まるものではありません。しかしながら私共はなお、学習塾はあくまでも学校教育の現状に即して、その機能を尊重しつつ対応するべきものと考えます。最近の一部学習塾に、いわゆる有名校合格を唯一絶対の使命とし、何らの教育的配慮もないままに、目的のためには手段を選ばぬといった風潮が見受けられるとすれば、それは多くの学習塾に対する父母の信頼を損なう極めて遺憾な事態であるといわなければなりません。まして、学校教育の現場に無用の混乱を与えるなどは、ことの本質を大きく逸脱したものというべきでありましょう。私共はこうした一部の塾のみが学習塾であるのではなく、圧倒的多数の学習塾が、一人一人の生徒の状況に応じた、手間のかかる着実な日常教育活動に従事している実情を訴え、世論と子を持つ親に対して甚大な影響力を有する教育行政当局、およびマスコミ関係者に現実の冷静かつ正確な把握を要請します。 私共の真に意図するところは、学校教育の機能を尊重しながらその及ばない部分を補い、しかも在野の教育機関たる学習塾の独善を排した創造性を発揮し、生徒の総合的な人格形成に寄与する点にあります。学校が教育に関連するすべての要求を完璧には満たしえない以上、問題の核心は学習塾の質の向上にあって、学習塾そのものの否定にはないのだということをくりかえし強調しなければなりません。子と親の自発的な意思と関わりなく、学習塾に通わせまいとする強引な策によって、教育を巡る本質的な論議を回避しようとする動きがあるのを私共は何よりも憂慮します。すでに学習塾の有効利用、適正利用について真剣な議論を交わさなければならない時期が来ているのです。私共は、学校とは異なった角度から生徒の特性を見出し、目先の得点に拘泥しない広い視野と柔軟な思考力を養成するという、自らの最大の義務と責任を深く自覚するとともに、教育に関わるすべての人々によって、学習塾の担い得る教育機能に関する長期的展望に立った、予断のない公平な論議がなされることを希望します。私共は、学習塾の創造的な活力がわが国の将来に真に益するところのあることを心から願うものです。 誇りを持って学習塾に携わる者として、私共学習塾全国連合協議会は、時代の要求に即応しつつ、しかも長く価値を失わない教育を模索する困難な家庭を通して、学習塾独自の教育力を深化発展させるために、全会員の力を合わせてより一層の地道な地域活動に邁進することを、ここに宣言します。 1987年5月15日 学習塾全国連合協議会 |
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